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Sphere-T02

— 空間の楽譜としてのデジタルツイン。過去・現在・未来が、同じ素材から同時に変奏される。

 

焼津で収集された映像と音——港の気配、生活のざわめき、潮や風がつくるリズム。

 

朝と夕で違う光、建物の隙間を抜ける風、どこか遠くで続く仕事の音。

それら「場所の記憶」が、展示空間を行き来する人々の動きと、温度・湿度・CO₂といった“いまの空気”に触れながら、空間全体で編み直されていく。

記憶は、光の断片として天井に漂い、足元では波となって広がり、空気の流れに揺らされながら、響きへと編まれ直される。


Sphere-T02 は、その変化をひとつの空間として立ち上げるインスタレーションである。

Overview

Sphere-Tシリーズが扱ってきた「身体と環境のつながり」は、T02で球体の内部から外へ拡張される。
中心は物体ではなく、空間そのもの。来場者は作品を「見る」だけではなく、歩き、近づき、滞在し、風に触れることで、変化の一部になる。
ここで起きることは、決められた演出の再生ではない。土地の記憶と現在の状態が結び直され、

「二度と同じ形で戻らない"いま"」が更新され続ける。

Concept|場所の記憶と、現在の空気と、人の身体

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし。
— 方丈記

場所の記憶、空間、訪れる人々。
それらは別々に存在しているようで、実際には絶えず影響し合い、交わり、変化し続けている。

Sphere-T02 は焼津を舞台に、土地の記憶を「固定された過去」として展示するのではなく、
人の身体と空間の状態によって、その都度“結び直される過去”として立ち上げる。
過去・現在・未来を結ぶとは、過去を保存することではなく、現在との接続の仕方を更新し続けることである。

Experience

  • 足元の波
    人が歩くと、足元に波紋が現れる。通り過ぎる動きが、空間に痕跡として刻まれ、次の動線を静かに誘う。

  • 天井に漂う記憶
    何百もの短冊が吊るされた天井に、焼津の映像が投影される。
    ひとつのスクリーンに集約された物語ではなく、断片が空間に散らばり、鑑賞者の移動が“編集”になる。

  • 揺れをつくる空気
    4方向から送られる風が短冊を揺らし、像の見え方そのものを変えていく。
    風は一定ではなく、人の動きに応じて変化し、視覚の揺らぎが身体の存在感へ接続される。

Digital Twin

この作品におけるデジタルツインは、単なる可視化ではない。
土地の記憶、人の動き、空間の状態をひとつに束ね、天井の像、足元の波、空気の揺れ、響きの変奏へ同時に配るための “空間の楽譜”として機能する。

入力はひとつの束として扱われ、出力は空間全体へ分配される。
その結果、断片は断片のままではなく、同じ記憶から別々の現象が同期して立ち上がり、空間そのものがひとつの器官のように呼吸しはじめる。

Memory Archive

Sphere-T02 の「場所の記憶」は、完成された編集物ではない。
訪れた人やそこに住む人が、それぞれの視点で記録した映像(音)をアップロードすることで、記憶は積層されていく。

10年後、20年後。
観光や学問の文脈で整えられた“正しい記録”とは異なる、生活の粒度を持った素材が集まるだろう。
それは保存のためのアーカイブではなく、出会い直しのための記憶である。
その土地の持つ記憶と人々が交わり、それぞれが未来を描く——Sphere-T02 はその交差点を空間として立ち上げる。

Mechanism|Sensing → Score → Resonance

Sphere-T02 は、空間に流れ込む出来事を「信号」として受け取り、デジタルツインを空間の楽譜として更新し、その結果を複数の現象として同時に立ち上げる。

  • Sensing|集めるもの(場所・人・空気)

    • 焼津で収集された映像と音(場所の記憶)

    • 展示空間を行き来する人々の動き(身体の軌跡)

    • 温度・湿度・CO₂などの環境状態(いまの空気)

  • Score|束ねるもの(空間の楽譜)

    • これらの信号をデジタルツイン上で統合し、空間全体へ“同時に配る”ための楽譜として組み替える

  • Resonance|現れるもの(空間の変奏)

    • 足元の波:歩行の痕跡が水面のように広がる

    • 天井に漂う像:短冊に投影された記憶の断片が揺れながら編集される

    • 揺れをつくる空気:人の動きに応じて風が変化し、像の見え方を変える

    • 三層の響き:原音/人との共鳴/空気との共鳴が、同じ素材から同時に変奏される

記憶は固定された“素材”ではなく、現在の身体と空間に触れるたび、別の現在として立ち上がる。

Artist Statement

過去は固定されたものではなく、現在と結び直されるたびに形を変える。
現在は、二度と同じ形で留まらない。
未来は、その変化の連なりから立ち上がる。

Sphere-T02 は、場所の記憶と、いまこの空間と、人の身体を結び、
変化し続けることそのものを体験として共有するための作品である。

Credits

Sphere-T02

Artist

    Hideki Iwasawa

Art Team

    Yuki Imai (Computer Scientist)

    Kazuyuki Fukuda (Computer Engineer)

     ​

With memories from

    Yaizu Poters

    Kenji Okajima

Produced by Tengun-label

Special Thanks

    Yuri Takeuchi (Signifier/Signified)

    Smart Hotel Solutions

特別協力 by COLOBO

ART WORKS

SphereT01.png

Instaration

AI・画像処理分野での知見を活かしたMedia-Art作品の製作、展示等を行っています。

空間をテーマにしたメディアアートで人の動きと空間を認識し音に変え、鑑賞者の動きによって変化する音を実現します。

石川県白峰にてAI・画像処理を使った「空間と人を音で繋げる」作品等を展開しています。

その土地に住む人々と「場」、そこを訪れる人々が変化し合い絡まりあって紡いていく関係を音で表現したいと思いました。

そして願わくばその音が人々に記憶を想起させ、認識と関係を再構築し続けるような作品を作りたいと思いました。

本作品は人々と場の関係性が過去から未来へと絡まり合いながら変化していく関係性と非言語による対話をテーマとしたインタラクティブ性のある体験型の作品です。

言葉を重ねれば重ねる程に対象は代用可能となり本質がこぼれ落ちていく感覚を持つことがあります。 言葉は不自由だと感じる事があります。

その半面、言葉によって突き動かされる事があります。 言葉は何かを伝える事ができると感じる事があります。 コミュニケーションがおこなわれる時、言葉ではない何かが双方向に行き来している現象を仮定しました。 そして私はこの非言語の何かを構造化されていない音で表現したいと考えました。

場所、時間、記憶、それらを含み伝わるこの「何か」は体験者の中でローカライズされ、それと同時に一般化される何かを含んでいると考えます。

非言語によって行われるこの何かによってコミュニケーションは拡張され、空間も時間も超えて再構築されるでしょう。

私達の未来は変化し、絡み合いながら新しい世界に向かっています。

sphere-t01_全体図
sphere-t01_全体図(tengun-label)
sphere-t01_モジュール構成図
 
sphere-t01_モジュール構成図_Tengun-label(インスタレーシ

Open : Sphere-T01​

 

人の動きと空間を認識し音に変える技術

アート作品紹介/Art work introduction_Tengun-label
「Water Commune city」(長編)制作者:ANTICAL高松
01:36:11
Open:Sphere-T01
03:00
01_白峰_IMG_6628_Tengun-label(インスタレーションアート:球体作品)
00:50

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